雨降り王子は、触りたい。



三咲の体質こと、知ってるは市川と杉山と私くらいかなって。
勝手に思い込んでいた。

普通に考えればそんなこと一度も言われてないし、全然ありえることだ。



なのに少しショックだって。

そう思ってしまうのはきっと────自惚れてたからだ。

自分が三咲の"特別"なのかもしれないって。

知らず知らずのうちに、調子に乗ってたんだ。



ズキズキと、痛む胸。

小さく肩を落とした私に、畳み掛けるようにして萌絵ちゃんは口を開く。



「留衣くんの体質のこと、私が知らないわけないじゃない」

「え…」

「だってあぁなったの、私がきっかけだったから」



……どういうこと?

降ってきた理解し難い言葉に、私は眉間に皺を寄せた。

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