雨降り王子は、触りたい。
「……ごめんね。今日は先に帰っておいて」
私が力なく笑うと和佳は眉を下げ、
「行こっか、のえる」
「うん…。また明日ねぇ、絃!」
2人は教室を後にした。
私はこんな調子で、今日1日テンションが低かったと思う。
きっと、和佳とのえるには気を遣わせてしまった。
……だめだな、私。
外の景色へと目線を戻し、窓枠に体重を預ける。
力って、どうやったら沸いてくるんだっけ。
しばらく人の流れを見送ると。
──────ドクンッ。
今までで1番光を放つ、金色の頭が現れた。
跳ね上がった心臓は、同時に胸を圧迫する。
頭には昨日の情景が思い浮かぶ。