雨降り王子は、触りたい。



『……だからもう、近づかないで。留衣くんに。』



萌絵ちゃんの言葉に、私は"わかった"と返事をした。

……それって、正解だったのかな。

あの時は三咲と萌絵ちゃんの話を聞いて、ショックで。

だけど過去の話聞いただけで、私落ち込みすぎ?

肝心な今の三咲の気持ち、聞いてなくない?



──────そんなことを、思った直後だった。



………え?

1番見たくない光景が、目に映り込んできて。

私はそれまで窓枠にもたれかかっていた体を起こした。



校門の影からぴょんっ、と現れたのは。

恐らく萌絵ちゃんだと思う。


< 316 / 451 >

この作品をシェア

pagetop