雨降り王子は、触りたい。
大切でそばに置いておきたくて…
それに、これを持っていると素直になれる気がして、ずっと持ち歩いていたんだ。
だけどもう素直になったって意味、ないのかも。
三咲が萌絵ちゃんを想っているなら、私のこの気持ちは迷惑なだけだもん。
『簡単に触らせないで。』
─────いつだったか三咲、そんなこと言ってくれたっけ。
私、まんまと勘違いして。ドキドキして。
……バカだ。
だけど好きになっちゃったから。
好きだから。
迷惑はかけたくないよ……。
◇
三咲を避け続けて、1週間程が経った。
顔を合わさなければ、話さなければ、きっとこの気持ちは消えていく。
そう思ったのに、全くそんなことはなくて。
会わない、考えない。
そう思えば思うほど、頭の中が三咲でいっぱいになってしまう。