雨降り王子は、触りたい。
無視しようか。私がキーボードの上で指を迷わせていると。
【今日、放課後どっか行かない?】
追加でメッセージが送られてきた。
相変わらず、チャラい。
だけどそんな市川の言動に安心感を覚えてしまうのは、友達想いな一面を知っているからなんだと思う。
市川が私に話すことはいつも、三咲に関する内容で。
今回も何か──────と、頭を捻ると。
【断ったら絃ちゃんの気持ち、留衣にバラすよ〜】
「!?」
わかりやすく動揺した私は、ガタッと椅子を鳴らした。
え、ば、バラすって!?
私の三咲への気持ちは、誰にも言っていない。