雨降り王子は、触りたい。



三咲との間に何があったのか、わからないけれど。
避けないであげてほしい。

そう伝えようと、口を開くと。



「ねぇ絃ちゃ」

「私、萌絵ちゃんに言われたの。……もう三咲に近づかないでって」



遮られた、俺の言葉。

それと同時にピクリ、眉が反応する。



……なにそれ。どういうこと?

萌絵が絃ちゃんに、なんでそんな……。

ぐるぐると、思考を巡らせる。

近づかないでって…

まさか萌絵、まだ留衣に気持ちがある、とか?



「体質も自分がなおすからって」



なおすってそんな。
絃ちゃんを牽制するためなんじゃないの……?


そういえば昔、萌絵はほしいものをいつも何でも手に入れていた。

< 342 / 451 >

この作品をシェア

pagetop