雨降り王子は、触りたい。



限定のネックレス、新色のマニキュア、海外のぬいぐるみ。

どういう手段かはわからないけれど。
怖いなって、思うことがあって。

……変なこと、考えてないよな?



「……だけどやっぱり私、近づきたい。まだ三咲に嫌だって言われてないもん。だから、いいよね……?」



そう言って、眉を下げた絃ちゃん。



留衣が元気ないのは、萌絵のせいだったんだ。

絃ちゃんが留衣を避けていたのも、放課後すぐ姿を消していたのも、全部。



「……うん。留衣のこと元気づけられるのは、絃ちゃんしかいないよ」



そう言うと俺は立ち上がって、ドリンクバーに向かった。

そして、おもむろにグラスを取り、ジュースを注ぐ。

オレンジジュース、カルピスソーダ、メロンソーダ。

いつだったかテレビで見た組み合わせ。

試したことないから、美味しいかはわからない。


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