雨降り王子は、触りたい。



このまま三咲のこと、避け続けられるわけがない。

萌絵ちゃんの言いなりのままじゃ、嫌だ。



まっすぐ前を向くと、正体不明のドリンクが目に入った。

これ飲み干したら、三咲に連絡する……!

グラスをぎゅ、と握った時だった。



飲み物の表面に影がかかって。



「なにその変な色の飲み物」



なんだか不快そうな声が、落ちてきた。

見上げるとそこには。



「三咲……」



髪を乱した、金髪の男が立っていた。


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