雨降り王子は、触りたい。



「……雨宮、前に髪赤くしてる理由教えてくれたよな」

「へ?あ、うん…」

「俺は…あんま人と関わりたくなくて。近寄り難い雰囲気を出すために金髪にしたんだけど。なんか逆に目立ったっぽい。チャラくないのに、変なあだ名付けられたし」

「へぇ…」



だから三咲って金髪なんだ。

……って、なんの話?

なんの脈絡もなく話し始めた三咲に、私は目をぱちくりさせる。



「でもそれで俺が髪黒くしたら、周りが勝手に付けたあだ名に左右されたみたいでなんか癪じゃん?だから金髪のままなんだよな」



つらつらと言葉を紡ぐ三咲。
三咲がこんなに饒舌になるなんて、ましてや自分のことを話すなんて、珍しい。

だけど……前にもこんなこと、あった気がする。

たしか、あの日。
三咲の体質のことを知った日だ。

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