雨降り王子は、触りたい。
「え、ちょ、なんで…」
これは本当に嬉し涙なのかな。
自分でもわからない。
久しぶりに三咲に会えたからかな。
三咲がいつも以上に優しいからかな。
普段通り話せて、ほっとしたからかな。
三咲は一瞬動揺したものの、意を決したような目をこちらに向けた。
そして──────
「……え」
私の腕はグッと引かれて。
次の瞬間、ふわりと柔軟剤のような香りに包まれた。
じんわりと自分じゃない熱を感じる。