雨降り王子は、触りたい。
「み、さき…」
驚きのあまり、ピタリと涙は止まった。
腰に回された腕、触れそうな耳と耳。
三咲はぎゅうっと、私を抱きしめている。
なに、これ……死ぬ…………!
ドキドキしすぎて死ぬ。
息できなくて、死ぬ……!
身体の密着しているところが、火傷したみたいにじんじんと熱い。
呼吸をするのがやっとの私に、三咲は言った。
「こっち見るなよ。ださいから」
すると次の瞬間。
じんわりと肩が濡れるのを感じた。
……そうだ。三咲は女子に触れたら反射的に涙が出るわけで。
三咲は私の肩に、ポツポツと小さな雨を降らせる。