雨降り王子は、触りたい。



「……全然ださくなんかない」

「かっこ悪い」

「かっこ悪くない」



私が否定しても頑なに三咲は自分を卑下する。
三咲はださくもかっこ悪くもないのに。



「慰めたいだけなのにこんな風になって、ださいしかっこ悪い」

「だから、」

「だけどあんたが泣くのは嫌だ。俺が泣く方が100倍マシ」



ぎゅ、と三咲の腕の力が強くなった。

冬に向かって気温はどんどんと下がっているはずなのに、熱い。

この熱は、どっちの身体の体温なんだろう。
わからない。
だけど、溶けてしまいそうなくらい、熱い。


< 356 / 451 >

この作品をシェア

pagetop