雨降り王子は、触りたい。
「……全然ださくなんかない」
「かっこ悪い」
「かっこ悪くない」
私が否定しても頑なに三咲は自分を卑下する。
三咲はださくもかっこ悪くもないのに。
「慰めたいだけなのにこんな風になって、ださいしかっこ悪い」
「だから、」
「だけどあんたが泣くのは嫌だ。俺が泣く方が100倍マシ」
ぎゅ、と三咲の腕の力が強くなった。
冬に向かって気温はどんどんと下がっているはずなのに、熱い。
この熱は、どっちの身体の体温なんだろう。
わからない。
だけど、溶けてしまいそうなくらい、熱い。