雨降り王子は、触りたい。
「雨宮、お願い。泣かないで」
肩の水溜りはどんどん大きくなっていて。
……あぁ、もう。
私やっぱり、三咲が好きだ。
落ちて、広がって。
私の中に侵食していくみたいな、三咲の雨。
この気持ち、消せるわけないよ。
ふわり、吹いた風に視界の端のブランコが揺れる。
私は三咲の背中に手を回すと、ぎゅっと力を込めた。
「ねぇ三咲。聞きたいことがあるの」
「なに?」
自覚していたものよりもずっと大きい、三咲への気持ち。
それに気付いてしまったからもう、逃げられない。
……ううん、逃げたくない。