雨降り王子は、触りたい。



「雨宮、お願い。泣かないで」



肩の水溜りはどんどん大きくなっていて。

……あぁ、もう。
私やっぱり、三咲が好きだ。

落ちて、広がって。
私の中に侵食していくみたいな、三咲の雨。

この気持ち、消せるわけないよ。



ふわり、吹いた風に視界の端のブランコが揺れる。



私は三咲の背中に手を回すと、ぎゅっと力を込めた。



「ねぇ三咲。聞きたいことがあるの」

「なに?」



自覚していたものよりもずっと大きい、三咲への気持ち。

それに気付いてしまったからもう、逃げられない。

……ううん、逃げたくない。

< 357 / 451 >

この作品をシェア

pagetop