雨降り王子は、触りたい。
私は勇気を振り絞って、口を開く。
「……萌絵ちゃんと、付き合ってるの?」
もし付き合っていないなら、今度こそ素直になりたい────。
ぎゅうっと目をつむり、三咲の返答を待つ。
すると。
「………はぁ?」
耳元で、気の抜けるような声が聞こえた。
そして拘束される力が弱まって。
不機嫌そうな三咲の顔が、こちらを向いた。
◆
あの日、雨宮とラヴ・アラモードへ行った日。
俺は気付いていた。雨宮がヘアクリップを付けてきてくれたことに。
だけど“似合う"って一言が上手く言えなくて。
そうこうしているうちに、なぜか目の前にあの女が現れたんだ。