雨降り王子は、触りたい。



だけど、近付かないでって言われたってことは。

それで雨宮、俺のこと避けてたってわけ?

………それはかなり腹立つわ。



ふつふつと、腹の底から何かが沸いてくる。

そもそもアイツのせいで俺は、最近逃げるように学校から帰っているんだ。



「……じゃあ、さ」



雨宮がぽつり、言葉を落とす。



「ん?」

「三咲はなんで、付き合ってないのに萌絵ちゃんと会ってるの……?」

「それは……」



俺は目を閉じ、記憶を遡る。


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