雨降り王子は、触りたい。
三咲が座る場所の数段下で立ち止まった私は、ちょうど三咲と目線が同じくらいになっている。
立つと三咲の方が背が高いから、いつも少し見上げることが多いけれど。
真正面から見る三咲も、普段通り整った顔をしていた。
……どの角度から見ても綺麗とか。せこいわ。
そういや三咲のことを知ったのは、移動教室で三咲が私の席を使っていたからで。
席を譲るときは見下ろすこともあったけれど、当時は目を合わせることすらほとんどなかった気がする。
あの時は私、三咲のことを1番苦手で、関わりたくない、ムカつく男とかって思ってたんだよね。
────だけど。
今じゃ、真逆の気持ちを抱いてる。
三咲のこと、誰より知りたいし、近づきたいし……好き。
そんなことを考えていると、三咲の顔は不思議そうな色を浮かべた。
そんな三咲に思わず笑顔を零して、隣に座った。