雨降り王子は、触りたい。



─────きゅ。

地面についていた手から小指が攫われて、三咲の手の中に包まれる。

すると三咲の目にはじんわり、透明の液体が滲んだ。



徐々に大きくなる涙の粒。

それは限界に達すると、ぽろりと頬を伝って落ちた。

一粒落ちたそのタイミングで、三咲は私から顔を逸らす。

こちらを向くのは、金色をした後頭部。



「……ねぇ」



三咲は私の小指を離すと、今度は手全部をぎゅうっと握って、口を開いた。



「なに?」

「体質なおるの、めっちゃ時間かかったらどうしよ」



手から感じる力強さとは裏腹な、弱気な声色。

……そっか。
そりゃあ、不安だよね。


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