雨降り王子は、触りたい。
三咲の手の中にある私のスマホ。
三咲は画面を暗くしたそれを私の膝に置くと。
「自分がこんなだから、普通の男の方がいいだろって思うし、あんたが他の男と関わったらすごい焦る」
大きな溜息を吐いて、両手で自分の鼻と口を覆う。
「……いや、それは言い訳かも」
そしてこちらへ顔を向けると、澄み切った瞳に私を映した。
「きっと俺、心狭い。体質なんかなくてもきっと嫉妬してる」
その瞳に魔法をかけられて、私は動けなくなって。
肩を拘束されたかと思うと。
─────ちゅっ
唇に、柔らかいものが触れた。
その感覚は、一瞬で離れていく。