雨降り王子は、触りたい。
ハーフアップにした髪にはヘアクリップを付けて。
いざ、屋上へ!
ふわふわと浮いてしまいそうな足取りで、その場所へと向かう。
今日も三咲は、屋上の前の階段に座っていた。
「……おー」
三咲が少し照れ臭そうに言うものだから、なんだかこっちまで恥ずかしさが込み上げる。
「お、おう」
そう言って隣に腰を下ろすと、三咲の形のいい唇が目に入って。
この口と、私─────なんて、脳がトリップしてしまいそうになる。
だめ、だめ。意識をしっかり持て、私。
膨らみかけていた妄想を掻き消すようにブンブンと首を振ると。
──────きゅ。
三咲の手が、私の手を包み込んだ。