雨降り王子は、触りたい。



「涙は……!?」



思わず大きな声が出る。



「………うん」

「え、え、え!?なんでそんな落ち着いてるの!?」



取り乱す私とは反対に、なぜか三咲は冷静で。



「や、うん……結構びっくりしてる」



……いや、冷静に見えるけれど、本人なりに驚いてるのかもしれない。

信じられないと言わんばかりに、繋がれた手を見ている。



あまりにも突然で、あまりにも衝撃的で。

私の感情は喜びよりも、びっくりが勝っていて。

だけど三咲が手を握る力を強めると、じわじわと嬉しい気持ちが湧いてくる。



「……やった、三咲!」



────ガバッ

私は無意識に、三咲に抱きついていた。

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