雨降り王子は、触りたい。
嬉しい……嬉しすぎる!
こんなに急になおるものなのかはわからないけれど。
今も、三咲は涙を流していない。
抱きしめる力を緩めて、三咲の顔を確認する。
うん、ほら。泣いてない……!
三咲の相変わらず茶色のようなグレーのような、不思議な色の瞳が、揺れる。
涙がなくてもその瞳はクリアで、透き通っていて、キラキラしている。
「嬉しい……」
見つめ合っている状態で、そう零すと。
「………好き」
三咲の声が、鼓膜に触れた。
その言葉がスイッチになって、私の心臓はドコドコと太鼓のような音を響かせる。