雨降り王子は、触りたい。
◇
次の日。1時間目、英語。
移動教室だ。
今日はまだ三咲に会っていないから、なんだか緊張する。
いつもより少し速い心臓を抱えて、席を立つ。
そして隣のクラスに足を踏み入れると────
「え!?」
目に止まったのは、教室の奥で杉山と喋っている三咲。
その顔には……メガネが掛けられていない。
なんで!?
……たしかに、ダテメガネだからする必要はないかもだけど。
前に、メガネしてないとパンツ履いてないくらいソワソワするとかって言ってたのに。
なんか目力倍増して、輝きを放ちまくってるんだけど。
思わず眩んだ目を守るように、顔に手を当てる。
すると隣で和佳が口を開いた。
「え……がちもんの王子いるじゃん」
そりゃそうだよね、目に入るよね……。