雨降り王子は、触りたい。



神々しいその姿に、よく見てみれば周りも全員釘付けになっていた。

……まさか。体質がなおったっぽいから、涙を隠すためのメガネは必要ないってこと?



────昨日。結局あの後、しばらく手を繋いで喋っていたけれど、涙が出ることはなかった。

それはよかったんだけど……なんか、複雑。

私だけが知ってる三咲の素顔だったのに、なんて思ってしまうのは完全に私の我儘だ。

だけどどうしても、女子みんな完全に目がハートになっているのが気になる。



「もー……ずっとメガネしとけバカ」



私の零した言葉に、和佳が不思議そうに首を傾げた。



「ん?絃、メガネ派?」

「……どっちも、いいんだけど」


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