雨降り王子は、触りたい。
なんか悩みって、尽きることないのかも。
ため息を零すと。
「なんの話してんの」
声が落ちてきて。
見上げるとそこには、チャラメガネ王子がいた。
いや今は、メガネではないか。
ってことはチャラ王子……?
「おー、本人登場!ちょうど三咲の話してたんだよ〜。メガネ、してないなって!」
和佳がそう言うと、三咲は照れ臭そうに頭を掻いた。
「あー…そう。必要なくなったっていうか」
……やっぱり、必要なくなったってことは。
これから先はずっと、この整い切った顔面を晒しながら、周りの視線を独占しながら三咲は生きていくんだ。
チクチク。針で連続的に刺されたような痛みが、胸を襲う。