雨降り王子は、触りたい。
「なんか三咲、最近丸くなったよね〜」
三咲がいなくなった後、和佳が耳元で言った。
…確かに、最近の三咲は表情が変わった気がする。
前ほど不機嫌そうではないというか、まとっていたトゲのあるオーラがなくなったというか。
「ていうか、おもに絃への態度。…なんか、いい感じだよね〜」
その言葉に、勢いよく和佳の方を向く。
「はぁ!?」
和佳はニヤニヤと悪い笑みを浮かべていた。
なに、いい感じって!
「焦っちゃって、あやし〜」
たしかに三咲を見る目は変わったし、話す回数は増えたけれど。
私たちの間には、和佳の期待している様なものは生まれていない。