雨降り王子は、触りたい。
「怪しいことなんかなんもないわ!」
私がそう言って、和佳を膝で小突いた─────その時だった。
「…………なぁ、雨宮。」
──────ビクッ
後ろから聞こえた声に、肩が過剰に反応する。
その声の正体が三咲だということは、すぐにわかった。
だけど、もう自分の教室へ戻ったのだと思っていたから、驚いた。
それに………私の名前、知っていたなんて。
いつも赤髪って呼んでくるから。
てっきり名前、知らないんだって思っていた。