雨降り王子は、触りたい。
「な、なに」
足を止め、ぎこちなく振り返ると、三咲がこちらへ向かってくるのが目に入る。
どっくん、どっくん…
急に名前を呼ばれたせいか、心臓の音は速くて。
三咲が近づいてくるにつれて、なぜか余計に加速する。
そして私の真前に立った三咲は。
「連絡先教えて」
突拍子もないことを言い出した。
私は弾かれたように、三咲を見上げる。
「…は?」
連絡先……?
突然のことに、私の目は点になる。