雨降り王子は、触りたい。



こちらを見下ろす三咲はというと、その顔はいたって真面目なもので。
相変わらず綺麗な瞳がまっすぐに私を映していた。



……いや、なんで?

そりゃあ話すようになったけど。
わざわざ連絡をとるほどの仲ではない、と思う。

すると和佳がニヤリと口角を上げて、再び耳打ちをしてきた。



「やっぱ、いい感じなんじゃん?」

「うるさい本当そんなんじゃないの!」



男子といい感じ、だなんてこの人生において言われたこともなけりゃ、実際にそういう雰囲気になったこともない。

っていうか私はそもそも、ちゃんとした恋愛なんてしたことがない。


< 63 / 451 >

この作品をシェア

pagetop