雨降り王子は、触りたい。
三咲の体質はなおせるものなのかもって、期待したのに。
なおしたいって、思ったのに。
…この男と、これ以上話すことはない。
私が立ち上がると。
「…ねぇ絃ちゃん」
「まだなにか?」
呼び止められ、睨みつけるように振り返った。
「留衣と、仲良くしてやってね。」
クリアな目が、私を映す。
市川はチャラそうな雰囲気で、実際見た目通りチャラくて。
女子との噂が絶えないことが納得なくらい、馴れ馴れしくて。
────だけどやっぱり、人は見た目が全てじゃないらしい。
「それは、言われなくても。」
…なんとなく、市川が友達想いだということはわかったような気がする。
気がするだけ、かもしれないけれど。