雨降り王子は、触りたい。
04 : ありがと
昼休みが始まるチャイムが鳴り響き、ルーティンのごとくスマホの画面を点けた。
届いているメッセージのほとんどが、公式アカウントからの広告だ。
それら全てに目を通した後、ふと思った。
そういえばこの前、三咲と連絡先交換したけど結局何も送ってこないんじゃん。
"あそこの苺ミルフィーユチーズケーキパフェを食べるまでは死ねない"とかって、言ってたくせに。
…まぁ別に、なんでもいいんだけどさ。
カップルのフリなんて荷が重いし。
甘いもの、興味ないし。
「絃、行くよ〜!」
和佳の声がして、私はスマホの画面を暗くした。
「うん、行こ」