雨降り王子は、触りたい。



「そんなわけないでしょうが!」



のえるの頬を両手で引っ張ると。



「ひひぁーい!!!」



元からピンクの頬がさらにピンクになった。



「ちょっと言ってみただけじゃんかぁ」

「言って良いことと悪いことが、世の中にはあります。」



三咲のこと…たしかに嫌いじゃないけれど。

"嫌いじゃない"は、"好き"とは違うでしょう?



「お似合いだけどなぁ…」



のえるは、ちぇ、と唇を突き出した。



「っていうかさ、」



口を開いた和佳は、私とのえるが言い合いをしていた間にお弁当を食べ進めていたようで。



「次の古文、辞書いるじゃん?持ってきた?」



空になった弁当箱を片付けながら、言った。


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