雨降り王子は、触りたい。



「………あ。」



……完全に、忘れてた。

思い浮かぶのは、家の引き出しの中に入れっぱなしの電子辞書。



「やばい!!」

「のえるは持ってきたよぉ」



声を荒げた私と反対に、のえるは余裕の表情でゆっくりとパックのイチゴミルクを吸い上げた。



昨日の夜、お風呂入るまでは覚えていたのに。
上がってから準備しようと後回しにした私のバカ…。

たしか先生、辞書ないと何もできない授業だとかなんとか言ってたような気がするし。



─────ぽん。
落胆する私の肩を、和佳が叩いた。



「私も忘れたんだ〜。隣のクラス、借りに行こっ」


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