極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
大西洋を溺愛クルージング
1.御曹司のピアノレッスン
早朝に目覚めたら、もう部屋に彼はいなかった。
バトラーのエリオットさんに聞いたら、しばらく前にジョギングに行ったという。
わたしもあたたかい服に着替えてから、外に出た。
船の外周を囲むデッキはジョギングトラックになっている。明け方なのにもう数人の乗客が走っていた。
「……すごい景色」
夜明けのデッキは絶景だった。
まだ星のまたたく深い紺色から、紫がかった淡いピンクへと移り変わる空の色。やがて水平線がオレンジ色に焼け、黄金色の太陽が昇ってくる。
海は、闇の黒と光の金色がまざって神秘的に輝く。
「あ、翔一郎さん……?」
柱の陰になっていて見えなかったのかもしれない。わたしの横を潮風とともに翔一郎さんが走り抜けていった。
すれ違った瞬間、翔一郎さんが額にびっしょりと汗をかいているのが見えた。
イヤホンをして周囲の気配をシャットアウトしている。自分の内側に集中しているような、とても真剣な顔。
黙々と努力する姿は華やかなパーティーで堂々とふるまう海堂ホールディングスの副社長とは全然違った。
バトラーのエリオットさんに聞いたら、しばらく前にジョギングに行ったという。
わたしもあたたかい服に着替えてから、外に出た。
船の外周を囲むデッキはジョギングトラックになっている。明け方なのにもう数人の乗客が走っていた。
「……すごい景色」
夜明けのデッキは絶景だった。
まだ星のまたたく深い紺色から、紫がかった淡いピンクへと移り変わる空の色。やがて水平線がオレンジ色に焼け、黄金色の太陽が昇ってくる。
海は、闇の黒と光の金色がまざって神秘的に輝く。
「あ、翔一郎さん……?」
柱の陰になっていて見えなかったのかもしれない。わたしの横を潮風とともに翔一郎さんが走り抜けていった。
すれ違った瞬間、翔一郎さんが額にびっしょりと汗をかいているのが見えた。
イヤホンをして周囲の気配をシャットアウトしている。自分の内側に集中しているような、とても真剣な顔。
黙々と努力する姿は華やかなパーティーで堂々とふるまう海堂ホールディングスの副社長とは全然違った。