極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
夢の中で操られているかのように言葉が口から滑り出る。
「はい……、好きです。……好き……」
翔一郎さんの指先が生みだす澄んだ音色とさわやかなコロンの香りに、心がぐらぐらと揺れて。
止められないときめき……。
住む世界の違うこの人に恋なんてしたくない。したくないのに、無理やり恋の罠に落とされてしまいそうな、そんな甘美な恐怖。
翔一郎さんは『愛の夢』を弾き終わるとまた隣の席に戻り、一転して明るくリズミカルなイメージの曲を弾きはじめた。
「これは『乗馬』?」
馬をトロットで走らせている時みたいな軽快なリズム。踊り出したくなるような楽しい曲だ。
「そう、ブルグミュラーの『貴婦人の乗馬』」
「これも昔、聴いたことがあります」
「ピアノ、楽しいだろう?」
翔一郎さんが突然指を止めてこちらを見た。
何かを訴えるようにじっとわたしを見つめる真剣な瞳。
「昔って? いつ聴いたのか覚えている?」
「え……」
いつ……?
それはあの夏。
豪華客船の大きなピアノ。
音楽の得意な年上の少年。
彼は――。
「はい……、好きです。……好き……」
翔一郎さんの指先が生みだす澄んだ音色とさわやかなコロンの香りに、心がぐらぐらと揺れて。
止められないときめき……。
住む世界の違うこの人に恋なんてしたくない。したくないのに、無理やり恋の罠に落とされてしまいそうな、そんな甘美な恐怖。
翔一郎さんは『愛の夢』を弾き終わるとまた隣の席に戻り、一転して明るくリズミカルなイメージの曲を弾きはじめた。
「これは『乗馬』?」
馬をトロットで走らせている時みたいな軽快なリズム。踊り出したくなるような楽しい曲だ。
「そう、ブルグミュラーの『貴婦人の乗馬』」
「これも昔、聴いたことがあります」
「ピアノ、楽しいだろう?」
翔一郎さんが突然指を止めてこちらを見た。
何かを訴えるようにじっとわたしを見つめる真剣な瞳。
「昔って? いつ聴いたのか覚えている?」
「え……」
いつ……?
それはあの夏。
豪華客船の大きなピアノ。
音楽の得意な年上の少年。
彼は――。