極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました～一途な海運王の華麗なる結婚宣言～

　日本人の女性たちは憧れの芸能人に会ったかのように目をキラキラさせて、高い声を上げていた。

「海堂様！」
「お目にかかれて光栄ですわ！」

　海堂と呼ばれたその男は立ち止まって、赤ワインの令嬢に声をかけた。

「ジュエリーオークラのお嬢様でしたね。お父様には大変お世話になっております。先ほど何かアクシデントがあったようですが、お怪我はございませんか？」
「は、はい。ありがとうございます」
「それはよかった。それでは、また」

　目の前で微笑む美貌に、ぼうっと見とれる女性たち。

　男はクルーと女性たちに手を上げて会釈をすると、迷いなくまっすぐにわたしの前に来た。

「Nice to meet you. Your name, please?」
「え？　わたし？」

　自信に満ちあふれた堂々とした態度。
　でも、なんで急にわたしに名前を聞くの？　そして、なんで英語!?

「Good evening, my name is Marika. あの、わたしは光井鞠香と申しますが、日本の方ですよね？　どちら様でしょうか？」