極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
『少し冷静になりたい。今夜は戻らない』

 あのあと一晩、彼は帰ってこなかった。
 翔一郎さんはどこで夜を過ごしたのだろう?

 でも、聞けない。束縛するようなことは言えない。
 わたしは彼の本当の恋人じゃないんだから。

「イブニングドレス以外にも、普段着やスマートカジュアルに対応した服を何着か見繕おう」

 不自然なくらい翔一郎さんは普通に見えた。
 ちょっと偉そうで自信に満ちあふれた落ち着きがあって。ルーズな格好をしていてもやっぱり海堂家の御曹司だ。

「イブニングドレスはウェルカムパーティーでお借りしたドレスだけで十分だと思うんですけど」

 翔一郎さんは器用に片眉を上げてわたしを見た。

「あれは借りたのではない。きみに贈ったものだが?」
「はい?」

 いつの間にそんなことに。
 たしかにわたしの体に合わせて細かくサイズ調整をしてもらったので、もう返品はできないかもしれないけど。

「既製品を直したものでは満足できない? やはりオーダーメイドでないとだめか?」
「そんなことあるわけないじゃないですか! でも、だったら余計新しいドレスを買うなんてもったいないです。一回着ただけなのに」
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