極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「ウェルカムパーティーの濃紺のドレスもよく似合っていたが、今度は明るい色のドレスを着た鞠香も見てみたいな」
「ドレスに着られてるかんじじゃありませんでした? わたし、あんな華やかな衣装は着たことがなくて」
「あの日のきみはまるで夜の女神のようだった。あの場にいた誰よりも美しかったよ」
ささやきは甘い。
翔一郎さんの言葉はまるで口説き文句みたいだった。昨日までよりもさらに甘さが増して、蜂蜜の海で溺死してしまいそうだ。
「本当はほかの男には見せたくないけど、しょうがないな」
わたしにだけ聞こえる小声でつぶやく彼。何かを抑えこんでいるような、低くて、少し荒さを感じる声。
……でも、本心は?
あなたは本当は何を考えているの?
未来の花嫁を溺愛する若き御曹司。そんな恋に夢中な男を装う、したたかな副社長?
それとも、本能をむきだしにした野生の獣みたいに、わたしを奪おうとする一人の男?
どちらの翔一郎さんが本物なの?
わからない。