極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 それにしても、これらの色合いは翔一郎さんのリクエストなのだろうか。明るい色のドレスを着たところを見てみたいと言っていたけど。

「ああ、いいな。どれも鞠香のイメージに合いそうだ。さすがだな、リサ」
「ありがとうございます」

 会心の一撃、といったかんじの晴れやかな笑顔のリサさんと、ドレスに近づいてあれこれと検討する翔一郎さん。二人とも楽しそうだ。
 わたしのドレスのはずなのに、わたしだけ取り残されている。まあ、自分のセンスには自信がないので、翔一郎さんのお眼鏡にかなえばそれでいい。

「では、どのドレスをご試着なさいますか?」
「このワインレッドとピンク、あとゴールドのドレスも試してみよう。それぞれ靴とグローブも用意して」
「では、準備をしてまいります」

 はい? ちょっと待って。

「翔一郎さん、そんなにたくさん試着するの?」
「まだワンピースの試着もあるし、これでも減らしたつもりなんだが?」
「……え?」

 なんだか試着は一日仕事になりそうだ……。





「下船後はぜひニューヨークの店舗にもお越しください」

 リサさんに見送られてショップを出たのは、もう夕方だった。
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