極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「デッキで酔いを醒ましていましたよ。一人で」
「まあ、知っていたら、わたくしもお付き合いしましたのに。わたくし、昨夜は初めて二人で過ごせて幸せでしたのよ。もっと一緒にいたかったわ」

 さりげなく『一人』を強調する翔一郎さんに対して、『二人で』とはにかむ綾乃さん。
 翔一郎さんを見上げる瞳がうっとりとしている。

 それにしても――一緒に、過ごした……? 初めて?

「え……?」

 昨日、グランドスイートに帰ってこなかった翔一郎さん。
 もしかして翔一郎さんは綾乃さんと一緒にいたの?

「友人とテラスバーにいたら、翔一郎さんがいらっしゃって驚きましたわ。そのまま夜更けまで……。そんなことがあるなんて想像もしませんでした。わたくし、うれしくて」

 さっきまで『海堂様』と言っていたのに突然名前呼びに変わったことで、ビジネスではないプライベートな時間を二人で過ごしたことが否応なく匂ってくる。

「酔っていましたので。失礼いたしました」

 翔一郎さんはそっけなく綾乃さんから視線を外した。
 でも、否定しないということは、綾乃さんの言っていることは事実なのよね。
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