極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「しばらく離れていた鞠香とこの船で再会できて、気がはやっていました」

 綾乃さんなら、わたしよりも翔一郎さんとつりあうだろう。フォーマルなイブニングドレスと大粒のダイヤモンドのようにしっくりくるはずだ。
 わたしは、あの夜に着ていた従姉の結婚式用のお呼ばれドレスみたいな存在。

「いろいろ思い悩むこともありますが、私は鞠香を真剣に愛しています」

 愛しているなんて。
 わたしたちはお互いの望みを叶えるための契約の関係。翔一郎さんや綾乃さんのいる世界には場違いでふさわしくないのに。
 ……なぜ?

 なぜ恋してしまったんだろう。

「それでは失礼します。鞠香、行こう」

 翔一郎さんがわたしの背を柔らかく押す。
 綾乃さんはそれ以上何も言わずに、店頭で上品に頭を下げた。
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