極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
3.星空の下の映画館
「言い訳のようだが、昨夜のことを話してもいいか?」
ぼんやりしているうちに、いつの間にかグランドスイートに戻っていた。
どこをどうやって歩いてきたんだろう。
翔一郎さんがバトラーのエリオットさんに下がるように促すと、エリオットさんは静かに一礼して部屋を出ていった。
「鞠香、頼むから何か言ってくれ」
グランドスイートの象徴のような繊細で美しい螺旋階段の横で、翔一郎さんに抱きしめられる。
翔一郎さんの匂いがした。さわやかなコロンとほのかな男の香り。
男の人の胸がこんなに広いなんて知らなかった。
そう。
翔一郎さんに会うまで、わたしは何も知らなかったのだ。
……こんなに切なくて苦しい気持ちがこの世にあるなんて。
でも。それでも。
この人がわたしを気にかけてくれることが――そばにいてくれることが、たまらなくうれしい。
「すまなかった。泣かせるつもりじゃなかったんだ」
男らしい低い声が困ったようにささやく。
泣かせる……?
わたし、泣いているの?
手を上げてさわってみたら、頬が濡れていた。
「なんで……わたし……」
ぼんやりしているうちに、いつの間にかグランドスイートに戻っていた。
どこをどうやって歩いてきたんだろう。
翔一郎さんがバトラーのエリオットさんに下がるように促すと、エリオットさんは静かに一礼して部屋を出ていった。
「鞠香、頼むから何か言ってくれ」
グランドスイートの象徴のような繊細で美しい螺旋階段の横で、翔一郎さんに抱きしめられる。
翔一郎さんの匂いがした。さわやかなコロンとほのかな男の香り。
男の人の胸がこんなに広いなんて知らなかった。
そう。
翔一郎さんに会うまで、わたしは何も知らなかったのだ。
……こんなに切なくて苦しい気持ちがこの世にあるなんて。
でも。それでも。
この人がわたしを気にかけてくれることが――そばにいてくれることが、たまらなくうれしい。
「すまなかった。泣かせるつもりじゃなかったんだ」
男らしい低い声が困ったようにささやく。
泣かせる……?
わたし、泣いているの?
手を上げてさわってみたら、頬が濡れていた。
「なんで……わたし……」