極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 初めて好きになった人。
 このまま流されてもいい。

 そんなふうに思うけれど。
 本当にいいの?
 このまま愛してしまっていいの?

「わからないの……」
「鞠香、焦らなくてもいい。ニューヨークまで、まだあと四日ある」

 ニューヨークまでの四日間。
 あと四日。たった四日。

 わたしはその間に自分の気持ちを決められるのだろうか。





「『Movies Under the Sky』に行きたいと言っていたよな」
「え? ええ……」
「これから行かないか?」

『Movies Under the Sky』――星空の下の映画館。
 セレブリティクイーンの最上階にある、屋外の映画上映スペースだ。

 数えきれないほどキスしたあと、頭が麻痺したようにぼうっとしてしまったわたしは、翔一郎さんの誘いに否も応もなくうなずいた。
 翔一郎さんはきっと雰囲気を変えようとしてくれたのだろう。

「今夜のプログラムは古いアメリカの映画だそうだ」

 パンフレットを見ながら翔一郎さんが言った。

 セレブリティクイーンでは数年前に大規模なリニューアル工事が行われた。
 内装のリフォームはもちろん、時流に沿ってシングルルームを新設したり話題の核となるような施設を作ったりしたのだが、その時作られたのが屋外シアターだ。
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