極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「すごい星空ですね……」
見上げれば、街灯などのない深い闇。
きらめくあまたの星々は手が届きそうなほど近く、また同時に体も心も吸いこまれそうなほど遠かった。
太平洋に次ぐ面積を誇る、広大な大西洋。ヨーロッパ大陸やアフリカ大陸と南北アメリカ大陸の間にある大洋。
その真ん中にぽつんと浮かぶ大型客船は空高くから見下ろしたら、海に流されて頼りなく漂うランタンのように見えるかもしれない。
けれど、乗船客にとって船は大地のようなものだ。揺らぐことのない大きな島の上で、喜び、悲しみ、限られた時間を生きている。
八日間に凝縮された人生の縮図。
「寒くないか? もっとこっちに来て」
腕を広げる翔一郎さんの肩には柔らかいブランケットがかかっている。
夜空の下の大きなスクリーン。その前には二人掛けのソファーがたくさん並んでいて。
そのうちの一つにわたしと翔一郎さんは座っていた。
「…………」
わたしは無言で翔一郎さんの広い腕の中におさまる。