極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
あたたかい……。
ふかふかのソファー、翔一郎さんの胸、そしてなめらかなキャメルのブランケットに体を包みこまれる。
屋外用のヒーターの熱がふんわりと漂って、熱源が赤い炎みたいにゆらゆらと揺らめく。
早春の冷えた夜風さえ心地よく感じた。
「おもしろいですね。この映画、初めて観た」
「そうだな」
わたしが小声でささやくと、翔一郎さんはわたしを見つめて、我慢できないとでもいうように素早く唇を盗む。
「翔一郎さん、だめです」
「……わかってる」
ため息をついて少し体を離す彼。
自分からだめだと言い出したのに、そのわずかな隙間がさみしかった。
映画は古い時代の作品で、モノクロだけれど綺麗にリマスターされているらしい。おてんばな令嬢と職にあぶれた新聞記者のコミカルなラブストーリーだ。
テンポのいい会話にくすくすと笑ったり、お互いが気になるけれど、なかなか素直になれない様子にきゅんとしたり。
主役の二人は『婚前旅行』の目的地であるニューヨークに向かって旅していく。