極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「ニューヨーク……」

 セレブリティクイーンのデスティネーション。わたしと彼の分かれ道。

 わたしたちは映画を観ながらソファーで二人、普通の恋人同士みたいに手をつないで身を寄せあって笑った。

 ときめきと切なさと、未知への怯え。

 この先、わたしたちのラストシーンはどうなるのだろう。
 映画みたいにうまく行くとは思えない。わたしが本当に海運王の妻になれるなんて信じられない。
 今、彼はわたしのことを気に入ってくれているみたいだけど、スキー場の恋みたいに、クルーズが終わったら目が覚めてしまうんじゃないかしら……。

 偽物の花嫁が本物になれる日はモノクロの映画の中の時代よりも遠く、はるか彼方に感じられた。
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