極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
ロイヤルカジノは危険な香り

1.華やかな迷宮

 クルーズ五日目の朝が来た。

 昨夜遅かったせいか、わたしは寝坊してしまったらしい。
 もう日が高く、寝室の遮光カーテンを開けるとまぶしい日差しが降りそそいだ。

「今日は暑くなりそう……」

 翔一郎さんはやっぱりもういなかった。
 ジョギングはもっと早い時間だろうから、お仕事かな?

「おはようございます、マリカ様」
「エリオットさん、おはようございます」

 仕度をしてリビングルームへ行くとバトラーのエリオットさんがいて、いつもの朝の紅茶を入れてくれた。
 エリオットさんによると、早朝に将生さんから呼び出しがあったらしい。翔一郎さんはその約束の時間が迫ったので、ついさっき出かけたとのことだった。

「海堂様から、将生様と三人でランチをしようとのご伝言です。十一時ごろ、ライブラリーカフェで待ち合わせをとおっしゃっていました。朝食はどうなさいますか?」
「もうすぐ十時かあ。寝坊しすぎですね。朝食はいりません。時間まで船内を散策してきます」
「かしこまりました」

 今日もピシッとした黒いスーツ姿のエリオットさんが執事らしく胸に片手をあてて軽くお辞儀をした。
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