極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 体格のいい彼と同じエレベーターのカゴの中にいると少し圧迫感がある。知らない仲じゃないし、と話しかけてみた。

「山内さんはどこに行かれるんですか?」
「はぁ……。光井様はどちらへ?」

 要領を得ない答えと、わたしから微妙に外される視線。

「ライブラリーに行こうかと思っていたんだけど、どうしようかしら。何か山内さんのおすすめの場所はありますか?」
「それならカジノはいかがですか。初めての方でも楽しめるように手配します」
「あ、でも……」

 カジノって午前中からやってたっけ?
 山内さんに質問しようとして見上げると、彼はスーツの内ポケットからスマートフォンを取り出してどこかに電話を始めた。

 ああー、止める間もなく誰かと話しはじめてしまった。
 カジノもまだ行ったことないし、まあいいかな?





 なぜか山内さんと並んでぶらぶらと歩き、最下階にあるカジノへと向かうことになった。

 最下階には一番船首側にミュージカルやショーを上演するシアターがあり、中ほどにダイニングやバーが続く。そしてロイヤルカジノの区画があって、船尾側の奥にシガーラウンジが設けられている。
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