極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「さすがに華やかですね!」

 カジノエリアはかなり広い。
 豪華なシャンデリアの下にメダルゲームの筐体やルーレット、カードゲームをするテーブルなどが並んでいる。さまざまな種類のスロットマシンが色とりどりの光を放って稼働中だ。

 ただやっぱり営業は夕方からがメインみたいで、まだテーブルを取り仕切るカジノディーラーは少なく客もまばらだった。

「ミスター・ヤマウチ」

 わたしがキョロキョロとまわりを見ていると、物陰から現れた欧米人のディーラーが山内さんに英語で話しかけてきた。

「先ほどはお電話をありがとうございました。ご案内するのはこちらの女性ですか?」

 黒いベストに糊のきいた白いシャツ、黒い蝶ネクタイ。三十歳前後の男性だ。ブラウンの髪にブルーグレーの瞳の甘い顔立ちで、海外ドラマに出てくる俳優によく似ている。

「そうです。彼女はミズ・マリカ・ミツイです」
「こんにちは、マリカと呼んでください」

 わたしが挨拶すると彼は唇の端をわずかに上げた。

「ロイヤルカジノのディーラー、オリバーです。私のことはオリバーと。マリカはカジノは初めてですか?」
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