極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「ええ。きらびやかな雰囲気ですね」
「クルーズシップのカジノは賭け金が低めに設定されています。本格的なギャンブルというより、気軽にスリルが楽しめる娯楽といった位置づけです」
「そうなんですか。初心者にはちょうどいいかもしれませんね」

 オリバーさんはゆっくりとわたしたちを先導しながら、いろんなゲームの説明をしてくれる。正直なところパチンコの経験すらないわたしにはルールもよく理解できない。
 でも、オリバーさんの口調は楽しそうで、カジノが好きなんだなということが伝わってくる。わたしもやってみたら熱中してしまうかもしれない。

「それでは、あなたのために個室を用意しましたので、こちらへどうぞ」
「個室?」

 賭け事をするのに個室が必要なのだろうか。初心者向けにレクチャーでもしてくれるのかしら。

 オリバーさんが手を差し出した。エスコートだと思って手をのせると少し強めに握られた。

「オリバー?」
「こっちだ。来い」

 思いきり手を引かれる。

「何を……っ」
「痛い目に遭いたくなかったら大きな声を出すなよ」
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