極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 ろれつが回っていない。今にもまた眠ってしまいそうだ。

「おまえ、何時に寝たんだ。もうすぐ昼だぞ」
「ええ? きの……は、そんなおそくな……。やまうちとさけ、のんで……」

 やはりおかしいと疑念がわく。まるで酩酊状態だ。将生はそれほど酒に弱くないし、こんな酔い方をしたなどど聞いたこともない。

 ……もしや酒に混ぜて、睡眠薬のようなものを飲まされたのではないか?
 突飛な考えかもしれないが、今はどんな可能性も考えておかなければならない。

 そして、もう一つ。
 早朝、こんな状態の将生が俺に連絡できただろうか?
 枕もとを見ると、将生のスマートフォンが投げ出されていた。電源が入っていない。

「将生、山内はどこだ」
「やまうちぃ? しらにゃい」
「真剣な話なんだ。将生、なんとか正気に戻ってくれないか」
「んん……?」

 懇願する俺の声音に何か感じたのか、将生がなんとか起きあがって頭を振った。

「みず……みずをくれないか」

 セキュリティガードに頼み、冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを持ってきてもらう。キャップを外して将生に渡すと、将生はごくごくと音を立てて水を飲んだ。
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